
一般社団法人日本デジタル歯科学会
理事長 末瀬一彦
最近は、季節外れの台風の発生に加えて日本特有の梅雨が重なり、各地で大雨の被害が発生し、さらに地震が頻発しています。会員の診療所やご自宅は大丈夫でしょうか?
いよいよこれからは酷暑の夏が到来します。くれぐれも御身ご自愛くださいね。
さて、令和8年6月の社会保険診療報酬改定に伴って、CAD/CAM冠の適用条件の撤廃、口腔内スキャナーの適用拡大など歯科医療におけるデジタル化が急速に進展し、保険診療における歯科医療も高品質化し、患者に対して効率的、安定的な供給が可能になってきました。デジタル化は単なる機器の導入段階から診療プロセス全体を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の時代へと移行してきました。
現在の歯科医療におけるデジタル化としては下記の内容が挙げられる。
- 診断におけるデジタル化として、口腔内スキャナーによる口腔内情報の取得、CBCTによる3次元画像による診断、AI画像による診断支援システム
- 補綴治療のデジタル化として、歯科用CAD/CAMシステムのよるデジタルワークフローの確立
- 歯科技工のデジタル化として、CAD設計を行った後、ミリング加工、3Dプリンティングによる安定的な成型加工による効率的な作業
- 歯科医院経営のデジタル化として、電子カルテ、Web予約、キャッシュレス決済、オンライン資格確認などの事務作業の効率化
- AIの活用にとして、診断支援、矯正治療やインプラント治療におけるシミュレーション、医療文書作成支援などの歯科医療の支援
日本デジタル歯科学会として、日々の歯科臨床に直結する課題に積極的に取り組むと共に、これからの保険診療への取り組みとして関連学会とも協力して医療技術提案書の申請も行う。

第17回学術大会 大会長
柏木 宏介(大阪歯科大学歯学部 有歯補綴咬合学講座 主任教授)
一般社団法人日本デジタル歯科学会第17回学術大会を、2026年5月9日(土)、10日(日)の両日にわたり、グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)にて開催いたしました。おかげさまをもちまして、大会参加者数は当初の予定を超える634名を数え、盛会のうちに無事現地開催を終えることができました。
本大会は、メインテーマとして「デジタルイノベーションの共創:未来を拓く歯科医療」を掲げ、臨床、研究、産業界の垣根を越えた素晴らしい演者とプログラムに恵まれました。
特別講演では大阪大学の石黒浩先生をお招きし、「アバターと未来の医療」と題してご講演いただき、会場ではAVITA株式会社のご協力によるアバターデモンストレーションも大きな注目を集めました。また、日本歯科医師会の高橋英登会長による特別セミナーをはじめ、教育講演、最新の技術や保険制度を網羅した5つのシンポジウム、2つの企画講演、さらに歯科技工士・歯科衛生士セッション、一般発表(ポスター41演題)と、非常に充実したセッションが行われました。
令和8年度の診療報酬改定を踏まえて設置した「口腔内スキャナー(IOS)体験コーナー」では、最新機器に直接触れる有意義な場を提供することができました。また、大会を支える協賛企業として、全49社に及ぶ多くの企業様から多大なるご助力をいただきました。会場での熱気あふれる機器展示をはじめ、5つのランチョンセミナーや2つのスポンサードセミナーの開催など、多方面にわたるご協賛によって大会を盛り上げていただきました。
初日夕刻には、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのピーコックシアターにて会員情報交換会を開催し、華やかな空間のなかで皆様と親睦を深めることができました。
デジタル歯科の未来を切り拓く「共創」の熱気と先進技術を、皆様に十分にご堪能いただけたものと確信しております。これもひとえに会員の皆様、ならびに関係各位の温かいご指導とご協力の賜物と、大会長として心より厚く御礼申し上げます。
来年、横浜で開催されます第18回学術大会で、皆様と再びお目にかかれることを楽しみにしております。
以下の顕彰に関する表彰を行いました。
おめでとうございます。
受賞者:岩城 麻衣子 先生
(東京科学大学大学院医歯学総合研究科口腔デジタルプロセス学分野)
受賞者:時永 涼平 先生
(広島大学大学院医系科学研究科医療システム工学)
受賞者:三野 卓哉 先生
(大阪歯科大学歯学部欠損歯列補綴咬合学講座)
受賞者:大木 明子 先生
(東京科学大学大学院医歯学総合研究科口腔基礎工学分野)
その他ご発表頂きました皆様もありがとうございました。
顕彰委員会 委員長 水木信之

受賞者:福井 優人 先生
(和田精密歯研株式会社大阪センター)
作品タイトル:映画「アバター」ナヴィ族頭蓋のデジタル再構築と歯列の再現
このたびは「歯科技工士作品コンペティション」において最優秀賞を賜り、誠にありがとうございます。
名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。
本作品は、石黒先生(大阪大学基礎工学研究科教授、ATR 石黒浩特別研究所客員所長)の特別講演「アバターと未来の医療」に着想を得て、映画『アバター』に登場するナヴィ族の頭蓋形態を、デジタル技術により再構築したものです。
Geomagic Freeform Plus™(3D Systems)を用いて、ヒトとは異なる顎骨形態を解剖学的構造に基づいて三次元的に設計しました。顎骨模型はProJet MJP 2500(3D Systems)で造形し、補綴装置にはジルコニアフレームを用い、その上にハイブリッド型硬質レジンを築盛しました。
工夫した点は、単なる造形物ではなく「機能する頭蓋」として成立するよう、形態・咬合・材料選択を一体として考えた点です。ナヴィ族の歯質にはエナメル質様の透過性が認められないという設定に着目し、犬や猫に近い生態的特性を有すると仮定し、審美性だけでなく、ハイブリッドレジンを築盛することで表面性状の再現性を重視しました。
本作品を通じて、デジタルデンティストリーにおける設計自由度と創造性を示すことができたと感じています。今後も技術と発想を結びつけ、今回の作品づくりで得た経験を、日々の歯科技工と新たな表現への挑戦に活かしてまいります。
(クリックで大きい画像が開きます)

受賞者:名倉 花乃 先生
(東京科学大学大学院口腔デジタルプロセス学分野)
作品タイトル:Characterized vs. Monolithic
この度は、日本デジタル歯科学会歯科技工作品コンペティションにおいて優秀賞をいただくことができ、大変光栄に思っております。
本コンペティションでは、デジタル技術を軸にして、いかに自然に近い表現を加えられるかを意識して製作に取り組みました。
本作品では、まずラボスキャナ 3Shape D2000によって模型のスキャンを行い、exocadにて設計を行いました。その後、dima Print Denture A3を用いてcara Print 4.0にて造形し、洗浄・重合した後、Nu:le Coatを使用して歯冠色および歯肉色のキャラクタライズを施しました。本作品では、歯冠色が単調な色調にならないようステインが強めの天然歯をイメージしてキャラクタライズを行いました。歯肉色においてはNu:le Coatの作業時間をあえて長くし、適度な粘性を持たせた状態で作業を行うことで筆跡を活かして血管走行を表現しました。
今回の受賞は、日頃よりご指導いただいている先生方をはじめ関係者の皆様のおかげだと感じております。心より感謝申し上げます。コンペティションを通じて、自身の技術を見つめ直すとともに、多くの学びを得ることができました。今後も知識と技術の向上に努め、研究や臨床に還元できる歯科技工を目指して精進してまいります。
【使用システム】
- 3Shape D2000
- exocad
- cara Print 4.0
- cara Print Clean
- cara Print LED Cure
- SprintRay Nano Cure
(以下、使用材料)
- dima Print Denture Teeth A3
- Nu:le Coat Liquid Pink, Red, Gum, Black, Blue, Gray, Yellow, Brown, White

このたび、令和8年春の紫綬褒章を賜りましたことは、身に余る光栄であり、これまでご指導・ご支援を賜りました多くの先生方、共同研究者、学生、ならびに関係各位の皆様のお力添えの賜物と、心より感謝申し上げます。
去る5月20日にはホテルニューオータニにおいて文部科学省主催の伝達式が執り行われ、その後、皇居において天皇陛下に拝謁するという大変貴重な機会をいただきました。改めて研究者としての責任の重さと、社会に貢献する学術研究の意義を深く実感しております。
私はこれまで、口腔環境の改善や感染制御を中心テーマとして、口腔微生物学・予防歯学・歯科材料学の分野において研究を進めてまいりました。特に、口腔バイオフィルム制御や乳酸菌を活用した予防技術、さらにはEtakをはじめとする抗菌技術の社会実装に取り組み、基礎研究から臨床応用、産学連携へと研究成果を発展させることを目指してまいりました。
このたびの受章を励みとして、今後もデジタル技術を含む歯科医学のさらなる発展に貢献するとともに、次世代を担う若手研究者・歯科医療人材の育成にも力を注いでまいります。引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
令和8年5月29日
二川 浩樹
〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー13F
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