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JADD MAGAZINE

一般社団法人日本デジタル歯科学会 メールマガジン No.8

巻頭言
理事長

一般社団法人日本デジタル歯科学会
理事長 末瀬一彦

会員の皆さん、令和7年新年明けましておめでとうございます。

健やかに新しい年をお迎えになられたことと拝察します。

昨年は、元旦早々能登半島地震の発災によって、1年間災害対策に関して改めて危機管理を熟考させられる年になりました。今なお避難生活を強いられておられる方々に心よりお見舞い申し上げます。また、昨年の6月には社会保険診療報酬の大幅な改定があり、国の医療DXの推進によって、歯科医療にも情報通信による連携や医療機器のデジタル化、CAD/CAM冠の適用拡大などが取り込まれ、一気にデジタルデンティストリーが進展してきました。本学会のミッションがますます重要になってきます。

さて、今年の干支は「乙巳(きのと・み」で、「乙」は十干では2番目で、困難があっても紆余曲折しながら進み、しなやかに伸びる草木を表しています。また「巳」は蛇のイメージから「再生と変化」を意味し、脱皮し強く成長する蛇は、その生命力から「不老長寿」を象徴する動物、または神の使いとして信仰されてきました。したがって、この2つの組み合わせである「乙巳」には、「努力を重ね、物事を安定させていく」といった縁起のよさを表しているといわれます。

令和7年は本学会と関連の深い学会と一層の連携を深め、大きな飛躍の年にしたいと思います。

今年も皆様方にとりましてご健勝で、さらなるご活躍を祈念申し上げます。

TOPIC
第16回大会準備状況報告
新谷 明一大会長

日本デジタル歯科学会 第16回学術大会
新谷 明一
日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座 教授

一般社団法人日本デジタル歯科学会第16回学術大会を2025年5月10日(土),11日(日)の両日にわたり,日本歯科大学にて開催致します.

日本デジタル歯科学会が,日本歯科CAD/CAM学会として発足してから15年が過ぎ,歯科におけるデジタル化は急速な進化を遂げてきました.日常臨床の中では日本独自のCAD/CAM冠やPEEK冠といった材料面からのデジタル化だけでなく,保険診療で口腔内スキャナーが利用可能になるなど機器面でのデジタル化も果たしてきました.そこで今回メインテーマを「デジタル技術の潮流と革新 -デジタル技術は歯科医療を変革したか?-」としました.特別講演では,デジタル技術が歯科界に与えたインパクトや臨床術式の変化についてお話しいただく予定です.また,デジタル技術を援用した歯科臨床の到達点,法改正でデジタル印象採得装置が認証されて10年間でどこまで来たのか,3Dプリンターの活用法の変化など,歯科におけるデジタルの変革を具体的に知れるシンポジウムも予定しております.その他に,企画講演や特別セミナー,歯科技工士,歯科衛生士を対象とした特別セミナーも計画しています.もちろん専門医ならびに技術認定士のケースプレゼンテーション,ポスターセッション,一般口演も募集致しますので,奮ってご応募ください.

2011年に大会を開催した東京飯田橋で,最新のアップデートについて大いに語り合いましょう.

大会校一同,皆様の今後の技術の向上,知識の獲得に役立つ学術大会になるよう鋭意準備を進めていますので,本学会会員のみならず,多くの皆様のご参加をお待ちしています.

■詳細につきましては、大会ホームページをご参照ください。
https://jadd16.com/

専門医・技術認定士認定委員会より

2025年度の専門医・技術認定士 認定に係る各種試験は以下の予定で実施予定です。
専門医・技術認定士の申請時に必要な条件は下記をご参照ください。

会員の皆様におかれましては、是非とも積極的に「専門医」 「技術認定士」 「認定アドバイザー」を取得して頂き、日本のデジタル歯科をリードして頂きたいと思っております。皆様のご参加をお待ちしております!

1.専門医・技術認定士 筆記試験、ケースプレゼンテーション試験、歯科技工作品コンペティションについて

日本デジタル歯科学会 第16回学術大会会期中に学会会場(東京)にて実施予定。

【実施日】2025年5月9日(金)~11日(日)
【実施場所】日本歯科大学生命歯学部

詳細は決定次第通知いたします。

2.専門医 臨床実技試験について

2025年7月ごろ 東京にて実施予定。

詳細は決定次第通知いたします。

専門医・技術認定士認定委員会 金澤 学

デジタル歯科学会専門医制度について
するぞうくん1
するぞうくんQ1
Q1 専門医制度とは?

『歯科診療に関連するデジタル技術の専門的知識ならびに臨床技能・経験を有する優れた歯科医師をデジタル歯科専門医として認定し、デジタル機器の基礎知識ならびに最新情報を普及することを目指し、本会での講演等、その進歩・発展に寄与できる指導的人材を養成することを目的とする。』

するぞうくんQ2
Q2 申請資格は?

下記の3つの条件を満たすこと。

  1. 日本国歯科医師免許を持つこと。
  2. 本学会会員歴3年以上
    もしくは、日本歯科医学会専門分科会専門医の資格を有し、本学会会員歴1年以上。
  3. 必要な研修単位を取得していること。
研修単位取得は大変なのかな…?

学会やセミナーへの参加学会発表および論文投稿により単位を取得します。
ハードルが高いように見えますが、論文投稿については、本学会学術誌および認定学術誌のほか、認定定期発刊雑誌への投稿も認められているため、挑戦しやすいと思います。是非、チェックしてみてください。

するぞうくんQ3
Q3 申請手順は?

下記の3つ合格すること。

  1. 臨床実技試験(IOSコンペティション含)
  2. 専門医筆記試験
  3. ケースプレゼンテーション(発表当日 口述試験)
実技試験が心配・・・。

先生方が普段使い慣れた機種で試験を受けることができます。

実技試験1 実技試験2
筆記試験難しそう・・・。

筆記試験はデジタルデンティストリーの基本的知識を問うものです。
参考図書を紹介します。

参考図書 クリニカルデンタルデンティストリー
目指そう!デジタル時代の【専門医】

専門医制度委員会
委員長 小川 匠  幹事 井川知子

*詳細はHPへ

2024年度冬季セミナーについて

2025年2月21日(金)~25日(火)に日本デジタル歯科学会2024年度冬季セミナー(WEBオンデマンド)を開催します。

今回のメインテーマは、「最新のデジタル歯冠修復 エンドクラウン・PEEK冠・ジルコニア接着ブリッジ」です。これは本年6月の保険改定でCAD/CAMレジン冠のエンドクラウンが新設され、PEEK冠、ジルコニア接着ブリッジを含めたデジタル歯冠修復のエビデンスに基づいた臨床上の注意点・勘所に関する情報を会員の皆様にお伝えすることを目的としました。

講師陣としては、
正木千尋先生(九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野)「保険収載されたエンドクラウンのポイント」
池田 弘先生(九州歯科大学生体材料学分野)「エンドクラウンとPEEKクラウンの材料と接着」
森 亮太先生(セラモテックシステム)「エンドクラウンのCAD Designの勘所」
片岡 有先生(昭和大学歯学部歯科理工学講座)「PEEK材料の歯科理工学的考察」
三浦賞子先生(明海大学歯学部機能保存回復学講座クラウンブリッジ補綴学分野)「基礎から学ぶジルコニア接着ブリッジ―成功に必要な基礎知識と接着テクニック―」
の5名にご依頼し、豊富な研究・臨床経験に基づいた独自の知見をご披露いただきます。

冬季セミナー申込QRコード

冬季セミナーへの申し込みは事前登録制のみです。2025年1月14日(火)から 2月13日(木)17時までに学会ホームページからお申し込みください。
(右記QRコードからもご確認いただけます。)

学術委員会では常にタイムリーで魅力的なテーマと講師陣を選定した企画を目指しています。次は2025年度夏季セミナー開催に向けて検討を始めていますので、皆様からも希望する企画がありましたら、是非ご提案ください。

学術委員会委員長 疋田一洋

第3回歯科衛生士のためのIOSセミナーについて
2024年度歯科衛生士特別セミナー(第1回)レポート

2024年12月22日(日)、IOSの普及啓発を目的に歯科衛生士を対象とした「IOSの体感セミナー」を開催した。本学会が主催し、日本歯科衛生士会にご後援をいただき、場所は東京お茶の水のセミナー室(モリタ社、デンタルプラザ東京)をお借りして、①IOSの講義、②マネキンによるファントム実習、③相互実習の3つのプログラムで行った。

講師として歯科衛生士の吉久保典子先生(小池歯科医院勤務、神奈川県)にご登壇いただき、朝10時から13時までの3時間、講義と実習をしていただいた。講義のタイトルは「明日やってみたくなるIOSの臨床応用8選」。歯科衛生士として吉久保先生が日々の臨床現場で行っているIOSの活用事例をたっぷりとお話いただいた。中でもブラッシングが適正に行われているかを確認する「PCR(プラークコントロールレコード)」では、ほとんど見えない「臼歯の奥」等の磨き残しにIOSの画像データを患者さんと供覧しながらTBIを行う動画など、具体的な活用術をお話いただいた。講義に続いては、マネキンによるファントム実習。3台のIOS( 「iTero(アライン・テクノロジー社:アメリカ)」 「3Shape TRIOS(3Shape社:デンマーク)」 「Primescan(デンツプライシロナ社:アメリカ)」 )をお借りして、12人の受講生が交代で全装置を体感いただいた。最後は歯科診療チェアーに場所を移して相互実習を行った。3時間という限られた時間でしたが、受講生の積極的な気持ちに講師の吉久保先生が応える形で、IOSの有効性をしっかり実感してもらったと思われる。

今回、改めて歯科衛生士は「概形印象」や「対合歯の印象」は行っても良いが、「精密印象」は「歯の切削」や「抜歯」と同じく“絶対的医行為”と定義付けられ行えないことを確認した。そのため、現状ではIOSによる精密印象も出来ないと想像される。しかしIOSによるデジタル印象は「歯肉縁下スケーリング」よりも侵襲が少なく、またIOSによるデジタル印象の「概形印象」と「精密印象」では、「歯肉圧排」は “相対的医行為”として歯科医師の監督下であれば歯科衛生士が行えるので印象採得だけでいうと差がないように感じる(もしかすると昔、チオコールラバーで「抜歯してしまった」等の経験から精密印象は出来ないのかもしれない:大阪人特有の「知らんけど」ですが)。そういった意味でIOSにおける「精密印象」について、今後、デジタル歯科学会から問題提議していくべきかもしれない。

謝辞:セミナー室ならびにスキャナーなどにご協力いただいた株式会社モリタ様に心より感謝申し上げます。

第3回歯科衛生士のためのIOSセミナーについて写真1
第3回歯科衛生士のためのIOSセミナーについて写真2
第3回歯科衛生士のためのIOSセミナーについて写真3

教育問題委員会 十河

IADDMについて(国際渉外委員会より)
IADDM(国際デジタル歯科学会)報告

IADDMは、Jung-Suk Han会長(ソウル大学)のもとで、2023年2月にソウルで学術大会を開催しました。2024年には、Prof. Nicola Scotti(トリノ⼤), Prof. Youngshen Zou(北京⼤)が理事に加わりました。2025年には、当初トリノ(イタリア)で学会を開催予定でしたが、経済状況が悪くトリノでの開催は困難であり代わりの開催地を模索中です。学会の開催が決まりましたら、詳細はホームページ等でお知らせします。

IADDMソウル大会後のHan会長と役員

写真 IADDMソウル大会後のHan会長と役員

国際渉外委員会 中村隆志

一般社団法人日本デジタル歯科学会 メールマガジン
JADD MAGAZINE No.8 2025年1月号

編集・発行元:日本デジタル歯科学会広報委員会
発行日:2025年1月23日

文責:日本デジタル歯科学会広報委員会