理事長挨拶
(一社)日本デジタル歯科学会
理事長 末瀬一彦
一般社団法人 日本デジタル歯科学会は2010年3月28日 東京都市センターホテルにおいて設立総会を開催し、誕生しました。当時の学会名称は『日本CAD/CAM歯科学会』で、2000年当初に日本に紹介された歯科用CAD/CAMシステムの普及、啓発を目的にスタートしました。その後2014年には画像診断、矯正歯科、インプラント治療などへのデジタル化が急速に発展したことによって、広く『デジタルデンティストリー』の日常臨床への普及、研究活動の推進を願って「(一社)日本デジタル歯科学会」に名称変更しました。さらに、2021年には日本歯科医学会認定分科会に加盟し、名実ともに、日本の歯科界におけるデジタル関係を統括する学会に成長してきました。現在、会員数1,000名、協賛企業60社を有する学会で、世界的にもこれほど充実したデジタル歯科関係の学会はありません。学会の中核をなす年次総会・学術大会も毎年定期的に開催し、2024年には第15回目の学会を開催することができました。第10回記念大会時には、国際デジタル歯科学会(IADDM)も併催し、欧米・アジア圏内からも多くの関係者の参加があり、日本のデジタルデンティストリーの現状を世界に広く発信することができました。その後も、本学会独自の英文誌(オープンアクセス)を発刊し、広く海外からの投稿も促しています。日本の歯科医療は従来からアナログ的な経験に基づいて行われ、その技術力は世界を凌駕するものでしたので、デジタル化への移行は少し遅れた感がありますが、日本の研究開発の底力によって、現在は世界的にも中心的役割を演じるところまで進展しています。2014年には医療保険に「CAD/CAM冠」が導入され、国民に安全、安心、効率的、公平に高品質高精度な修復物を安定的に提供することができるようになりました。さらに、2024年の診療報酬改定では口腔内スキャナーが保険診療に収載され、歯科領域においても先進的な医療を広く国民に提供することができるようになり、今後さらなる適用拡大も期待されています。
さて、本学会では時代のニーズに応じて委員会組織を構成しています。
総務・財務委員会、学術委員会、教育問題委員会、編集委員会、国際渉外委員会、国内渉外員会、専門医・技術認定士制度委員会、専門医・技術認定士認定委員会、医療保険検討委員会、用語検討委員会、顕彰委員会、広報委員会、倫理委員会、利益相反委員会
それぞれの委員会は、委員長(学会理事)をはじめ各委員の先生方のご尽力で、本学会の発展にご貢献いただいています。また、日本歯科医学会のプロジェクト研究にも積極的に申請し、これまでにも「歯科医療における匠の技のデジタル化 -歯科技術の遠隔教育への挑戦- 」(令和4・5年度)「歯科医療におけるデジタル用語集の作成」(令和6・7年度)が採択され、学会挙げて研究成果を公表できるように努めています。
令和6年度の社会保険診療報酬改定において「医療DX」「情報連携」「デジタル機器の導入」など多くの内容が保険収載され、社会の変遷とともに歯科医療界にもデジタル化の大きなうねりが押し寄せています。本学会の役割はますます広範囲になり、日本の歯科医療・歯科医学の中心的な役割を担い、重要なミッションを果たしていかなければなりません。
多くの会員の叡智と実行力をもって更なる発展が成せるよう努めて参ります。
皆様方の今後ますますのご指導、ご鞭撻、ご協力を衷心よりお願い申し上げます。
(2024年8月15日)
歴代理事長
(設立当初『日本CAD/CAM歯科学会(2010年3月28日)』)
初代理事長 宮崎 隆(昭和大学) 2010年3月~2011年12月
2代目理事長 末瀬一彦(大阪歯科大学) 2012年1月~現在
(学会名称変更『日本デジタル歯科学会(2014年4月)』)